2015 2月10日 技能試験 全員合格しました。

外国人技能実習生、異例の過労死認定 残業122時間半

外国人技能実習生、異例の過労死認定 残業122時間半

来日前のジョーイさん=2008年12月、友人提供

 建設現場や工場などで働く外国人技能実習生が増え続ける中、1人のフィリピン人男性の死が長時間労働による過労死と認定された。厚生労働省によると、統計を始めた2011年度以降、昨年度まで認定はなく異例のことだ。技能実習生の労働災害は年々増加。国会では待遇を改善するための法案が審議されている。

【写真】来日前のジョーイさん=2008年12月、友人提供


 ジョーイ・トクナンさんは、ルソン島北部の山岳地帯で生活する少数民族の出身。妻レミーさん(28)と、娘グワイネットちゃん(5)ら家族を養うために11年に来日した。岐阜県の鋳造会社で、鉄を切断したり、金属を流し込む型に薬品を塗ったりする作業を担当していた。14年4月、従業員寮で心疾患のため、27歳で亡くなった。帰国まで残り3カ月のことだった。

 最低賃金はもらっていたが、稼いだほとんどを毎月、フィリピンに送金。離れて暮らす娘とテレビ電話で話すことを楽しみにしていた。「リサイクルショップに娘のお土産を買いにいくんだ」。前日、そう同僚に話していたという。

 岐阜労働基準監督署によると、1カ月に78時間半~122時間半の時間外労働をしていたとされる。労基署は過労死の可能性が高いと判断。昨年、遺族に労災申請手続きの書類を送った。結婚の証明などを添えてレミーさんが申請し、今年8月に労災認定された。一時金として300万円、毎年約200万円の遺族年金が支給されるという。

朝日新聞社

「留学生」という名の奴隷労働者たち4 苦境のベトナム人留学生は犯罪に走る 第2の「福岡一家4人殺害事件」が起きる日 出井康博

ブローカーや悪徳日本語学校に食い物にされるベトナム人留学生。苦境に陥った彼らの犯罪が増加している。このままでは、かつて中国人留学生によって引き起こされた「福岡一家4人殺害事件」のような凶悪犯罪が起こるかもしれない。(アイ・アジア編集部)

◆追い詰められたベトナム人留学生の犯罪急増

最近、新聞やテレビでベトナム人による犯罪がニュースで取り上げられることがよくある。

今年2月には、埼玉県でベトナム人グループが同じベトナム人を相手に強盗・殺人事件を起こし、長野県まで逃走して騒ぎとなった。昨年9月には、大阪市生野区の路上でやはりベトナム人同士の集団暴行・殺人事件があった。少し遡ると、2014年にはベトナム人による「ユニクロ」窃盗事件が頻発した。これらの事件には共通点がある。いずれも「留学生」が加害者に含まれるのだ。

ベトナム人留学生の数はわずか5年間で約10倍も増え、今では5万人近くまで膨れ上がっている。これまでの連載で述べたように、その大半は出稼ぎ目的の“偽装留学生”である。そうした留学生の増加と比例し、彼らが起こす犯罪も増えている。

昨年、ベトナム人の検挙件数は3315件に達し、前年から3割以上も増加した。在日外国人に占める割合では7パーセントに過ぎないベトナム人が、全体の4分の1近くの犯罪を犯しているのだ。

刑法犯の数では、人口で在日外国人の約3割を占める中国人よりも多い。窃盗は24パーセント、万引きに至っては実に57パーセントがベトナム人の犯行なのである。こうしたベトナム人犯罪のうち、留学生は半分以上に関わっている。
ベトナム人留学生たちは、ほとんどが多額の借金を背負い来日している。「日本に留学すれば、アルバイトで月20万-30万円は簡単に稼げる」といったブローカーの甘い言葉を信じてのことだ。しかし、現実に「月20-30万円」を稼ぐことは容易ではない。

◆このままでは凶悪犯罪発生の可能性

日本語学校から専門学校や大学に“進学”し、彼らは日本人の嫌がる仕事に明け暮れる。そうして稼いだ金の多くは、日本語学校に学費として吸い上げられる。せめて学費の支払いを逃れようと、不法滞在者となるベトナム人は後を絶たない。その後、窃盗などの犯罪に走ってしまうのだ。

こうした状況を見ると、私は「留学生10万人計画」の達成を政府が目指していた2000年代前半を思い出す。当時、中国から出稼ぎ目的で来日する“偽装留学生”が急増していた。彼らの受け皿となったのが、現在と同じく日本語学校、日本人の学生不足に悩む地方の大学などだった。授業などまともに行なわず、定員を大幅に上回る数の留学生を受け入れていた大学も多かった。

そんななか、2001年に発覚したのが「酒田短大事件」である。山形県酒田市にあった酒田短期大学は日本人の学生が集まらず、出稼ぎ目的の中国人留学生を大量に受け入れて経営再建を目指した。中国人たちは大学に籍だけ置き、東京で不法就労に励んでいた。そのことが発覚し、問題になったのだ。

同時に、留学生が起こす犯罪も社会問題と化した。「留学生10万人計画」が達成された2003年、東京都内では外国人犯罪全体に占める留学生の割合が4割にも達し、5年前の23パーセントから急増した。

そして同じ年、全国に衝撃を与えた事件も起きることになった。中国人留学生3人による「福岡一家4人殺害事件」である。犠牲者は日本人夫婦と小学生の子ども2人で、遺体は福岡県博多湾で見つかった。

犯人の3人は、いずれも日本語学校を入り口に来日していた。その後、2人は私立大学と専門学校に進学するが、いずれも学費や生活費の工面に苦労していた。そこで裕福そうな家庭に目をつけ、金品目的で犯行に及んだのである。

あの事件から10年余りを経た現在、今度はベトナム人“偽装留学生”の急増に伴い、彼らが起こす犯罪も問題となりつつある。留学生の国籍が「中国」から「ベトナム」に変わっただけで、犯罪が増加する背景は極めて似通っている。留学生を増やそうとする政府の方針によってビザの発給条件が緩和された結果、“偽装留学生”が増え、犯罪もまた増加する。

福岡で事件が起きた途端、留学ビザの審査は厳しくなった。“偽装留学生”もいったん減り、同時に留学生が起こす犯罪も減少していった。

政府は「留学生30万人計画」が実現するまで、ビザの大盤振る舞いを続けるつもりなのだろう。第2の「福岡一家4人殺害事件」でも起きない限り、その方針が転換されることはなさそうである。(了)


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出井康博 いでい・やすひろ
1965年、岡山県生まれ。ジャーナリスト。英字紙「ニッケイ・ウィークリー」記者などを経てフリー。著書に『松下政経塾とは何か』(新潮新書)、 『長寿大国の虚構ー外国人介護士の現場を追うー』(新潮社)など。『ルポ ニッポン絶望工場』(講談社+α新書)を7月21日に上梓。